会員定着ノウハウ

“忙しい”“時間がない”退会を限りなく『ゼロ』に近づけるためには…。

何人に利用してもらいたいか?

クラブを経営・運営する立場にある人であれば、会員動向はなるべき多く沢山の人に利用してもらいたいと考えるのが普通です。私自身もそうでした。私は7施設の責任者を経験しましたが、施設規模は大きいところで会員月在籍が6,000名でスタッフが100名超、小さいところで会員月在籍が1,200名でスタッフが20名程度の施設でした。ですが、責任者の立場にあると、施設規模に関わらず、

『出来るだけ、色々な人に沢山利用してもらいたい!』

と考えていました。が、施設規模が大きければともかく、小さい施設は、施設のキャパシティに限界がくるのも早い訳です。

例えば、男女ロッカーがあわせて100程度のクラブであれば、ロッカー全部利用しても100名しか同時に入館できない訳です。そして、一人あたりのクラブ滞留時間を2時間として考えたなら、毎日10時―22時営業のクラブだとして、1日営業時間が12時間。とすると、

12時間÷2時間=6回転となりますから、最大利用人数が100名×6回転=600名

週1回の定休日をとっているのであれば、月の最大利用人数は、600名×(30日-4日)=15,600名

初回の説明会等で「頑張って週2回は来てくださいね~」と説明しているのであれば、一人月8回利用と仮定して計算すると…

15,600名÷8=1,950名

これが、この施設の会員動向の最大人数になります。これに加えて、もう1つ考えなければならないのが、利用する施設に同時に100名収容できるスペースがあるかどうか…ということもポイントになります。いわゆるトレーニング機器は複数で利用することが出来ませんから、1台=1名としてカウント、トレーニングスペースにレジタンストレーニング用やエアロビクス系のマシンが30台しかないのなら、残り70名をスタジオなりプールなりに流さないといけない訳です。

じゃあ…スタジオやプールに30名~40名入れれるプログラムやインストラクターになっているのか?という話になり、プログラムやインストラクターの検討する必要が出てくるのです。

こんな考え方から、『何人』に利用してもらいたいか?の最大人数を意識ししたことがないということであれあ、この機会に1度算出してみてはいかがでしょうか?施設の“混雑感”は1度感じてしまうと、足が遠のきやすいですから要注意です。

どんな人に利用してもらいたいか?

今、スポーツクラブを退会する人の60%が「忙しいから」「時間がないから」という理由で退会すると言われています。この60%の人が退会を踏みとどまってくれさえすれば、会員動向は安定しますよね。この理由で退会する人を限りなく0に近づけていきたいところです。

その為にはどうしたら良いでしょうか?

それには、『クラブをどんな人に利用してもらいたいか?』を明確に描ききることが必要です。例えば、会社員をされている方の1日を考えてみると、

勤務時間…8時間

通勤時間…2時間

生活時間…3時間

睡眠時間…6時間くらいの時間配分で1日を過ごされているのではないでしょうか?24時間のうち19時間は拘束されていて、完全なる自由時間は残り5時間しかありません。この5時間にクラブに通っていただかなければいけない訳ですから、結構ハードルが高いことが想定されますよね。会社員であれば、“残業”や“飲み会”“SNS”“他の趣味…”と“家族との団欒”…と色々優先したいことは山のようにあります。この手ごわい競争相手達に勝つ魅力や強みを施設が備えているかどうか?そして、それをスタッフ全員で伝えることができているかがポイントになります。

このように、『施設を利用してもらいたい人』を時間帯ごとに想定して描きった上で、“どんなプログラムが必要なのか?”“プログラム開始時間や終了時間が適当がどうか?”“どんな接客が好まれるのか?”…等をひとつづつ明確にしていき、その目標に徹底的にちかづけて、その人たちにとって『利用したい』施設に整えていくのです。

利用してもらいたい人=小人の作り方

利用してもらいたい人=小人を想定するとき、どんな条件で設定すれば良いのでしょうか?難しく感じられる方は、今利用されているお客様、具体的な個人を思い浮かべて作ってみると良いでしょう。例えば、下記のような項目で考えてみてください。

  • 性別
  • 年齢
  • トレーニング経験の有無
  • トレーニングの目標
  • 職業
  • 性格
  • 利用時間帯
  • 近くに住んでいる人?それとも近くで働いている人?

この『小人像』を描ききることこそが、未利用者を作らない最も効果的な方法です。例で挙げた社員であれば、残業”や“飲み会”“SNS”“他の趣味…”と“家族との団欒”と戦って、常に上位に“クラブでトレーニングをする”ということをランクインさせるために、『小人』が通いやすく、通いたくなる魅力を兼ね備えるために絶対必要なことなのです。

私自身、今まで見てきたクラブの中で、最も『小人』を描き切っていると思ったクラブは、サーキットトレーニングジムの『C』さんでしょうか?あちらのクラブは、40歳以上の地元に住む運動初心者の女性という『小人』を設定されていて、新聞折り込み用のチラシもアットホーム感満載の手作りぽいチラシ、運動時間も30分。その上、お客様の名前は、苗字ではなく下の名前で呼ぶ徹底ぶり。40代の女性の多くは『○○さんの奥さん』や『△▽くんのお母さん』と呼ばれることがほとんどで、下の名前で呼ばれる機会が最も少なくなる時期なのではないでしょうか?それが、クラブへ行くと下の名前で呼ばれる訳ですから、ご本人にとっては、物凄く嬉しいし、自分自身の“存在”を認めてもらえる場所となり優先順位がぐっとあがるはずです。皆さんであれば、どんなクラブに通いたくなりますか?

お客様、会員様視点の『接客・対応』とは?

採用したスタッフに相当の時間を費やして、接客対応やクラブのルールや商品ラインナップ、プログラムの名前から内容、その上に専門知識と研修をされていることと思います。なかでも、挨拶や接客はスポーツクラブであれば専門とする部門はどこであれ、基本中の基本、必ず会得しておかなければいけません。皆様のクラブではどのようなところにポイントをおいて教育されているでしょうか?

挨拶なら、『先手必勝』(先にスタッフ側からするんですよ)とか、お辞儀なら『角度は~、カラダ全体で~』とか、とかくタイミングや見た目の美しさを教えがち(もちろん必要なのですが)ですが、その前に、接客をする度に、『ようこそ、おいでくださいました!』とか『お待ちしておりました!』という気持ちを対応に表すべきなのです。では、その表現をする接客の基本スタンスはどんなことが考えられるでしょうか?

お客様から信頼を得るスタッフの接客の共通点はただ1つ。どんなことだと思いますか?

 

それは、完全にお客様の対面に立つことです。簡単に言うとお客様に向かって『おへそ』を向けて立つということ。たったこれだけです。

これにより、『点の接客』から『面の接客』に変わり、丁寧さが加わると同時に、お客様とスタッフの距離を縮め、コミュニケーションを円滑にします。なぜなら、このスタンスでの接客はお客様の『自己重要感』が満たされるからです。完全に対面に入ると、傍から見ていても「丁寧さ」と「おもてなし感」が数段アップします。クラブの人の配置の問題から、お客様1名あたりにかける対応時間に工夫が必要、接点の回数を減らさなければいけない…というお悩みを抱えてらっしゃるクラブこそ、その接点1回1回の質を上げなければならないのではないでしょうか?

The following two tabs change content below.
morikawa55-tomoe

morikawa55-tomoe

代表社会保険労務士森川事務所
スポーツクラブ定着コーチ。社会保険労務士。 大阪生まれ。スポーツクラブを運営、経営する企業に、スタッフも会員も定着する施設を作るノウハウを伝える専門家。「スポーツクラブのための定着率向上委員会」をベースに、施設ごとに、ワークショップ型のコンサルティングを手掛けている。